止利仏師生誕にまつわる2つの伝説
止利仏師の生誕については諸説あります。ここでご紹介するのは、語り継がれる2つの伝説。どちらも神秘的で太古の浪漫を感じるものです。
天生伝説
良材を求めて飛騨に入った鞍作多須奈が木を切り倒そうとしたところ、木から血が噴き出すなど怪奇な現象が続いた。そこで多須奈は都に戻り、聖徳太子に相談したところ、太子から自作像を授けられた。
飛騨に戻った多須奈は像を天生谷に安置すると、それ以降は何も異変が起きなかったという。
月ヶ瀬伝説
むかし、小鳥川に沿う余部の里で年に一度の村まつりが行われ村人が賑やかに騒ぐ中、ひとり祭りの輪には入らず、川辺にたたずむ娘がいた。川面には満月が美しく映し出されていました。娘は月影が写った川の水をすくって飲み干したところ、不思議なことに水を飲んだ娘は身ごもり、生まれた子は首が鳥に似ていたことからトリ(止利)と呼ばれたという。