飛騨市河合町に伝わる止利仏師伝説の史跡
止利仏師生誕伝説が伝わる飛騨市河合町には、伝説に関わる史跡や伝説の名残を感じさせる地名が残っている。これらの史跡は、伝鈔とともに地域の人たちの手によって大切に守り伝えられている。
河合町 天生地区
鞍部多須奈は天生谷に聖徳太子像を安置したとされる。飛騨市河合町天生地区には、かつて太子像が祀られていたことを記す石碑がある。石碑から斜面を少し登ったところには、地区の人たちによって祠が建てられている。また、天生峠を登る国道を途中で谷側へ少し下りると旧三ノ瀬集落の後がある。もとは「産ノ瀬」であったようで、天生の山中で子どもを産んだという伝説も荒唐無稽な作り話とも思えない。
河合町 月ヶ瀬地区
「月ヶ瀬」の名前の由来は、月が写った川面の水を飲んで子を宿したという伝説による。月ヶ瀬橋から少し歩くと「飛騨匠」という文字が刻まれた石碑が建っている。この地では、飛騨の匠といえば止利仏師のこととされ、「飛騨の匠発祥の地 月ヶ瀬」の看板が掲げられている。月ヶ瀬橋がかかる小鳥川には、「多須奈淵」「忍岩」「神女の泉」と呼ばれる場所もある。